本文へスキップ
India Japan Kaizen
← すべての物語
📚

日本の漫画出版社、アニメより先にインド進出

2026年10月7日 · 著者 India Japan Kaizen Team

India Japan Kaizen — ポップカルチャー・ブリッジ・シリーズ 第4回

本シリーズ第1回では、日本のアニメ産業が単年で250億ドルを超えたという見出しの数字と、視聴者数で世界第3位の市場となったインドという規模感を取り上げた。第2回ではその規模を具体的な案件まで掘り下げ、10を超えるインドの州がAVGC政策に予算を投じている実態と、その政策活動にようやく手がかりを与えた二つの具体的な提携 — Toonz Media Groupと東京の1st PLACEによる制作同盟、そしてGeek Pictures Indiaのオリジナルアニメ『Panchsheela』 — を取り上げた。第3回では、帝国データバンクの調査が示す「日本のアニメスタジオの大半が実は儲かっていない」という厳しい実態を補い、今週の試金石として、デリーで開催される「Mela! Mela! Anime Japan!! 2026」でのJETROビジネスマッチング事業を予告していた。そのフェスティバルは、もう終わった。第2回で取り上げた二つのアニメ案件はどちらも動いておらず、映像共同製作条約の欠落もまったく変わっていない。ところが、アニメスタジオではない二社の日本企業が、まったく別のかたちで、アニメ業界がまだ実現できていないことを同じ週にやってのけた — インドでの現地法人設立だ。

Mela! Mela! 2026から実際に出てきたもの

「Mela! Mela! Anime Japan!! 2026」は予定通り10月3日・4日、ニューデリーのパシフィック・モール・タゴール・ガーデンで開催された — デリーでの第3回開催であり、電通インドをはじめとするスポンサー陣による支援も変わらず続いた。第3回が、インドの州レベルのAVGC政策資金と日本のスタジオ間の案件とをつなぐ初めての実質的な基盤として指摘した、JETROのビジネスマッチング事業も、予定通り併催された — 参加を希望する日本企業がインド企業と組み合わされ、ライセンス供与、コンテンツ配給、共同製作、商業化、マーケティングの各分野で、1社あたり最大5回の1対1の商談機会が設けられた。ここから見えてきた最も明確な新しい数字は、案件そのものではなく、この事業自体の成長だ。JETROが組み合わせた参加企業数は、前年の8社から今年は19社へと倍以上に増えた。これは、マッチング基盤そのものが拡大しているという実際の証拠だが、JETROはこれに伴う成約済みの案件やMOUの名を挙げた結果発表をまだ公表していない。本シリーズは、その発表を引き続き注視する。

講談社、インドに現地法人を設立

『進撃の巨人』などで知られる日本最大級の出版社の一つ、講談社は、同じ週に、商談よりもはるかに具体的なもの — 現地法人設立 — を確定させた。Kodansha India Private Limitedは、大日本印刷(DNP)、および「IJ Kakehashi Services」という名のパートナーとの合弁事業で、本社はデリーに置かれる。出資比率は講談社81%、DNP14%、IJ Kakehashi5%。資本金は9,500万ルピー(約110万ドル)で、代表を務めるのは講談社取締役の栗田浩嗣氏。計画では英語とヒンディー語で年間約200タイトルの漫画を展開し、年間売上は数十億円規模を目指す。稼働開始は今秋の予定だ。日本の大手総合出版社が、既存のインド出版社へ翻訳権をライセンスするのではなく、紙の漫画・書籍出版のために自ら現地法人を設立するのは、これが初めてとされる。講談社はフェスティバル会場にも出展し、この取り組みを紹介した。

ポプラ社も追随、狙うは若い読者

長年続く児童書シリーズ『かいけつゾロリ』の出版元であるポプラ社は、講談社より一歩先んじて、9月中旬にデリーで自社の現地法人を設立していた — フェスティバルで自ら出展していたのも、この発表の直後だった。ポプラ社の計画は、対象読者がより若く、スケジュールもやや緩やかだ。英語・ヒンディー語版の刊行開始は2027年1月を予定しており、初年度は『かいけつゾロリ』を筆頭に、日本のベストセラーリストから約40タイトルを展開する計画だ。講談社の漫画とポプラ社の児童書 — 日本の出版業界の異なる二つの領域が、同じ月に、流通代理店や条約、フェスティバルでの商談を待つことなく、インドでの直接展開に賭けることを選んだ。

言葉だけの首脳会談、動かない条約リスト

この対比をより鮮明にしているのが、もう一段上のレベルで起きたことだ。7月、モディ首相と高市首相は第16回日印年次首脳会談を開催し、経済安全保障、AI、エネルギーの強靭化、防衛協力など、約120件の合意・発表を取りまとめた。共同声明は両国間の「継続的な知的・文化的交流を評価する」とし、「アニメ、漫画、ゲーム、映画といったクリエイティブ産業が果たす重要な役割を強調した」と明記した。これは、本シリーズがこれまで見てきた中で、首脳レベルでポップカルチャーが名指しで優先事項とされた最も直接的な例だ — だが、それによってインド情報放送省の「映像共同製作協定」リストは何も変わらなかった。リストは今もイタリアと英国(2005年)からイスラエル(2018年)まで続いており、日本の名前はどこにもない。本シリーズが当初から追ってきた2013年のMOUは、第2回・第3回が呼んだ通りのまま — 条約ではなく、作業部会にとどまっている。

第2回で名前を挙げた二つのアニメ案件は、今どうなっているか

本シリーズの中心にある二つの制作案件は、どちらも動いていない。2025年3月に締結されたToonz Media Groupと東京の1st PLACEの提携は、まだ両社のクレジットを掲げた完成・公開作品を生み出していない。8月末のAnime India Mumbaiで発表されたGeek Pictures Indiaの『Panchsheela』も、9月初めの最新の公開情報の時点で、公開日や配信プラットフォームはまだ発表されていない。両案件とも、第3回が報じた時点とまったく同じ場所にある — 本物の提携ではあるが、まだ見せられる完成品はない。

まだ足りていないもの

この分かれ方こそが、第4回の本当の発見だ。本シリーズのアニメ側 — 最も長く追ってきた二つの案件と、映像共同製作条約の問題 — は、4回を数えても完成作品や政府間の署名済み協定を生み出していない。首脳会談がアニメと漫画を名指しで優先事項に挙げたあとでさえ、そうなのだ。一方、本シリーズが今週まで一度も取り上げていなかった出版側は、条約もフェスティバルでの商談も必要とせず、同じ月にインドの現地法人を二つも誕生させた。まだ足りていないのは、今年のJETROマッチングから出てくる、これに匹敵する名前のある成果だ。そして、それが得られる可能性のある次の日付は、東京側のカレンダーにある — TIFFCOM 2026が10月28日から30日まで開催され、国際的なアニメ共同製作の組成と資金調達をテーマにした専門会議も予定されている。インド特化のセッションはまだ確認されていないが、今週デリーで行われたマッチングの後、日印間のアニメ案件が実際にどう資金調達されるのかという核心が、公の場で議論される最初の機会になりうる。

漫画や書籍出版、アニメやAVGC制作に携わっている方、あるいはデリーでの「Mela! Mela! Anime Japan!! 2026」のJETROマッチング商談に参加した方は — ぜひご連絡ください。それこそが、India Japan Kaizen が実現したいと考えている出会いそのものだ。

本稿はIndia Japan Kaizenのポップカルチャー・ブリッジ・シリーズ第4回である。第5回では、東京で開催されるTIFFCOM 2026のアニメ共同製作会議(10月28〜30日)からインド特化の成果が生まれるかどうかを確認し、今年のJETROマッチングから名前のある案件が出てくるかを追い、『Panchsheela』とToonz-1st PLACE提携についても改めて確認する。

このシリーズの他の回

もっと見る →

他の週刊シリーズを見る